2018年06月06日07:00
『海賊の経済学』解説3 「フランス革命よりも遥かに早い海賊船の民主主義」
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51548163.html

 ただ、海賊船のような、無法者が集団で生活する場では“強力なリーダー”というのが絶対に必要になるはずだよね。
 ところが、そういった強力なリーダーというのを立ててしまうと、メンバーを粗末に扱ったり、
自分の好きに振る舞うことになってしまう。例えば、勝手に部下を殺して、
その罪を他のやつになすりつけたり。これはこれでヤバい。

 だから、そういうジレンマがあるんですよ。海賊船というのは、強力なリーダーが必要なんだけど、
同時に、そのリーダーに全てを決めさせては自分達がヤバイことになってしまう、と。

 そのため、海賊船では、海賊黄金時代よりも100年くらい前のバッカニアの頃から、
「強力な権力を分散させる」ということが図られていたんだ。
・・・
 その1つが“クオーター・マスター制度”。あんまり聞き慣れない言葉だよね。
海賊船には、船長以外に必ず“クオーターマスター”というヤツがいたんだ。

 では、このクオーターマスターというのは何か?
 船長というのは、航路を決めたり、戦闘の時、「このまま戦う」とか「引き上げる」
とかの決定を下す絶対的な指揮官だったとすると、
船内での食料の割当てとか、日用品の配分、奪った財宝の査定、それをそれぞれ誰にどのように配分するのかの決定、
船員同士の喧嘩の仲裁、仲裁した場合の罰則の決め方、罰則の実行、これら全てのことは、
クオーターマスターと呼ばれる役職の人物が決めていた。
・・・
 このクオーターマスターも、船長と同様に選挙で選ばれたんだ。
 言ってしまえば、船長というのは“武官”で、クオーターマスターは“文官”なんだよ。
船長というのが将軍で、クオーターマスターというのは内閣総理大臣みたいなものだと思ってくれて構わない。