2018年05月23日07:00
『パシフィック・リム』解説3 「イメージの源流は“クトゥルフ神話”だった」
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51547778.html

 さて、『パシフィック・リム』の監督を請け負うことになったデル・トロが、
これから作り出そうとする巨大怪獣のイメージとして、まず持ってきたのが、これです。

(パネルを見せる『巨人』) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/c/c/ccd42603.png

 これは、スペインの画家のフランシス・デ・ゴヤという人の作品だとされていた絵です。
まあ、10年くらい前に美術館が鑑定した結果、「ゴヤの弟子の作品だ」とわかったんですけども。
『巨人』という名の絵画作品なんですね。

 こういうふうに、下には人が住んでる村落があり、その地平線の向こうには、雲よりも遥かにデカい人間がいて、
何かと戦っている。これ、完全にファイティングポーズを取ってますよね。

 もともとは『狂気の山脈にて』で、人類の知らない旧支配者とク・リトル・リトルの戦いの歴史を
描こうとしていたデル・トロ監督は、それと同じようにして怪獣と巨大ロボットを描きたいというふうに言い出したんですよ。

 こういうイメージを使うことによって、『狂気の山脈にて』で考えていた「巨大な怪物同士が戦う」
というイメージをそのまま使えることが、ほぼわかってきました。
・・・
 この大怪獣は、太平洋の真ん中に開いた“ブリーチ”と呼ばれる海の底の割れ目から出て来て、太平洋の沿岸を襲うんです。
 タイトルにもなっている“パシフィック・リム”とは何かというと、パシフィックは太平洋のことで、リムというのは淵のこと。
つまり、太平洋の淵である沿岸部が襲われるという意味なんです。

 サンフランシスコとか、マニラとか、日本とか、オーストラリアとか、香港とか、襲われるところは全部、
パシフィックのリムなんです。なので、そういうタイトルの映画になっています。

 ところで、この『パシフィック・リム』には、関係者の書いた小説版がありまして、
その中にこんなエピソードが書かれているんですよね。

 “イェーガー計画”という、対巨大怪獣ロボット計画の資金が膨れ上がり、
「こんな計画は役に立たないから辞めろ!」と言われたことがあったんです。