>>639
 で、こうやって撮るんだけども、これ演技をずってやっててこの5台のカメラで一度に撮るわけじゃないんだ。
 全部バラバラで5回同じ演技をやらせて撮るんだ。
 なんでそんなことをするのかっていうと、こいつのアップの時にはこいつだけの照明を当てなきゃいけない。
つまりここには照明機材がいっぱい並んじゃってるわけだよな。こういうふうに照らしてるんだよ。
こいつを照らしている。こいつを撮る時にはこちら側に照明機材があってこいつを照らしている。

 この2人が並んでいる絵をこのカメラで撮る時はここに照明機材があって、こういうふうに光で照らしているわけ。
 なので、僕らが普通に映画館の中とかドラマで観る時に、ごく普通になんでもないシーンっていうのは全部バラバラに撮って、
それをそれごとに照明切り替えたりと、それやらないとやっぱ役者さんによっては
ライティングがベストの状態じゃないと魅力が出ない人もいるし、
女優さんによってもやっぱハイライト強い目でないと、もう50歳越えて肌衰えてるから無理っていう人もいるから、
そういうことはすごい現場では気を使うわけ。

 ところが全部1カットで撮ってると、どうなったのかっていうと、今の例で話すよ。
 そうすると、テーブルを挟んでお互い向かい合っている人間が喧嘩しているとか言い合っているだけのシーンのはずなのに、
こいつを撮って次こいつを撮ろうと思ったら、カメラどうしても回ることになるんだよね。
で、ぐるぐるぐるぐる、そういうシーンしょっちゅうあるんだよ。

 『バードマン』なんかではここにドアがあって、ドアからこの人物が入って来て、
それをカメラが後ろから追いかけて来て、こういうふうに喋ってるのをぐるぐるぐるぐる回って追いかけて、
こいつがまた怒って出て行くところを後ろから追いかけてっていう絵作りになってる。