2018年05月02日07:00
『サピエンス全史』を語るよ3 「火を使えるようになったことでの効能」
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51547198.html

 ところが、その後、大きな変化が起こります。
 何かというと「火が使えるようになった」ということですね。
 さっきは「30万年前」って言ったんですけども、80万年くらい前から、
いくつかの種属には火を使っていたような痕跡が残っています。

 そして、30万年前に、ホモ・エレクトスとか、ネアンデルタールとか、我らホモ・サピエンスは、
日常的に当たり前のように火を使うようになりました。
 そういった証拠が見つかっているのは、この3種くらいなんですけど、
おそらく他のホモ属、人類も、わりと火を使っていたはずです。

 火を使えるようになったきっかけというのは、わからないんですよね。
 “先史時代”と呼ばれるように、その頃の歴史は何も残っていないので、
結局、アフリカ辺りの集落跡から化石が掘り起こされるのを待つしかないんですよ。
 集落の化石を掘り起こした時に「そいつらの歯がどれくらい磨り減っているか?」とか、
「周りにどんなものがあったか?」とかを調べるんですけど。
まだ、土器とかが使われる前なので、火を使って料理をしていたという証拠がなかなか残りにくいんですね。

 ただ、それ以外にも火を使っていたかどうかを知る方法があります。それは腸の長さなんです。
 人間というのは、消化のために腸を使うんですけども、
火を使っている種属はどんどん腸が短くなっていく傾向があるんです。
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 火というのはすごいんです。
 火については“発明”ではなくて“発見”なんですけども。

 まず、ライオンとかの捕食獣を追い払うことが出来る。
 人類史において、それまでの人類は、捕食獣に対して、ほとんど対抗策がなかったんですけど、
火があればそれらを追い払うことができる。

 あとは、森とか茂みを焼き払うことができる。
 焼き払った森の中には、焼けたドングリとか、いろんな食べられるものが落ちている。
おまけに、茂みとか、通れなかった部分をショートカットして通ることができるようになる。

 『ゼルダ』で、トゲだらけで進めないような場所があるんですけど、火の付いた矢で射たら、
トゲが燃えて通れるようになりましたよね? あれって、わりと人類の歴史の中で画期的な出来事だったんですよね。
 そして、何よりも大きかったのが、食べられなかったり、食べにくかったりする食物が食べれるようになったことなんです。
 これが、火の発見によって生まれた大きな差です。
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