>>644
 そういうことを、今回、ツイートを見ていて知ったんですけども。

「このシーンで終わるところが、やっぱりこの映画のスゴイところだ」と思う僕としては、
このシーンを見逃している人があまりにも多かったことに、かなり驚きました。

 しかし、今回の解説は、こういうレベルではなく、もっと細かくやっていきます。
・・・
 では、冒頭の流れを説明します。映画が始まって一番最初のシーンを、カットごとに順繰りで説明していきますね。

 まず、真っ暗闇の中、カメラ目線で真っ正面を向いた清太の幽霊が現れます。
そして、「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」というふうに関西弁のイントネーションで言います。

 次に、清太の幽霊が見ている光景として、駅構内で死にかけている自分の姿が映ります。
 この時点では、一応、ハアハアとまだ息をしているんですね。
 でも、やがて崩れてしまう。

 すると、駅員がやってきて、清太が死んだことを確認します。
そして、「ああ、こいつも死んでしもうた」ということで、遺品を探っていたら、ポケットの中からなんか缶カンが出てくる。

 何の缶カンかわからないので、駅員がそれをポイと捨てると、捨てられた缶の中から骨が出てきて、季節外れの蛍がポワッと現れる。
 その蛍の中から1人の女の子の幽霊が現れる。妹の節子ですね。節子はお兄ちゃんの死体を見ています。
 節子の幽霊がお兄ちゃんの死体に駆け寄ろうとすると、後ろから肩を叩かれて止められる。

 振り返ると、そこには生きていた頃の優しいお兄ちゃんがいて、2人はそのまま手を繋いで、
蛍のいる草原を右から左へ歩いてフェードアウトする。

 この、二人が通り過ぎたところに、『火垂るの墓』というタイトルが表示されます。
 まあ、ちょっと簡単に説明したんですけども、こういう大きい流れで出来ています。

「もうツラい」(コメント)
「これを見るだけで泣いてしまう」(コメント)
 もう泣いてますか。すごいな、みんなやっぱり泣くんだな。
・・・
 さて、実はこの「まだ生きている自分を、死んだ清太の幽霊が見つめる」というシーンには、
よくよく見ると、すごい秘密が隠されているんですね。

 それは何かというと……さらに細かく、1カットずつ検証していくとこうなります。

(冒頭の清太) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/9/4/9407abf4.png

 まず、「昭和20年9月21日夜僕は死んだ」と正面を見つめて言う清太の幽霊。
 そう言ってから、清太の幽霊は次に右下に視線を流します。

 すると、駅構内の柱が映るんですけど、この時、手前に何かが映ってるんですよね。わかりますか?

(柱の横に何か) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/7/f/7fdd11f0.png