岡田斗司夫プレミアムブロマガ
「『火垂るの墓』冒頭5秒の謎とは?」
2018/4/23 7:00

http://ch.nic ovideo.jp/okadatoshio-archive/blomaga/ar1490832

【『火垂るの墓』「冒頭5秒の謎」】

 『火垂るの墓』の冒頭の流れを説明します。
映画が始まって一番最初のシーンを、カットごとに順繰りで説明していきますね。

まず、真っ暗闇の中、カメラ目線で真っ正面を向いた清太の幽霊が現れます。
そして、「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」というふうに関西弁のイントネーションで言います。

次に、清太の幽霊が見ている光景として、駅構内で死にかけている自分の姿が映ります。
この時点では、一応、ハアハアとまだ息をしているんですね。
でも、やがて崩れてしまう。

すると、駅員がやってきて、清太が死んだことを確認します。
そして、「ああ、こいつも死んでしもうた」ということで、遺品を探っていたら、ですね、
ポケットの中からなんか缶カンが出てくる。
何の缶カンかわからないので、駅員がそれをポイと捨てると、
捨てられた缶の中から骨が出てきて、季節外れの蛍がポワッと現れる。

その蛍の中から1人の女の子の幽霊が現れる。妹の節子ですね。
節子はお兄ちゃんの死体を見ています。
節子の幽霊がお兄ちゃんの死体に駆け寄ろうとすると、後ろから肩を叩かれて止められる。

振り返ると、そこには生きていた頃の優しいお兄ちゃんがいて、2人はそのまま手を繋いで、
蛍のいる草原を右から左へ歩いてフェードアウトする。
この、2人が通り過ぎたところに、『火垂るの墓』というタイトルが表示されます。

 まあ、ちょっと簡単に説明したんですけども、こういう大きい流れで出来ています。

 さて、実はこの「まだ生きている自分を、死んだ清太の幽霊が見つめる」というシーンには、
よくよく見ると、すごい秘密が隠されているんですね。
 それは何かというと……さらに細かく、1カットずつ検証していくとこうなります。

まず、「昭和20年9月21日夜僕は死んだ」と正面を見つめて言う清太の幽霊。
そう言ってから、清太の幽霊は次に右下に視線を流します。
すると、駅構内の柱が映るんですけど、この時、手前に何かが映ってるんですよね。わかりますか?
柱があって、その手間に、何か物が映ってて、これがスーッと消えたと思ったら、
次に、死にかけている自分がボワっと現れて、次のカットに流れるんですね。

 この柱の前にあるものは何か?
ということで、この3番目の部分だけを、よく見えるように引き伸ばしたのが、これです。
 実は、死にかけの自分の姿が映る前に、この柱の手前には、こういう形の物が描かれているんですね。