>>702
【回答者 評論家・岡田斗司夫さん】

 私は以前、ガイナックスというアニメ会社を起業し、社長をしていました。
アニメを作るたびに赤字になり、それを救ってくれたのがパソコン用のエロゲーム開発でした。

 最初に作ったのは『電脳学園』。クイズに正解すると美少女が脱ぐという内容です。
よく売れて会社を経済的に救い、同時に私たちはエロであろうともゲーム作りの楽しさを知りました。
シリーズ3作目の『電脳学園V』では、自社の人気アニメ『トップをねらえ!』のキャラクターを脱がせました。
実際のアニメ監督がゲームの監督もしたので、絵は非常に高レベルで評判も高かったのです。

 そのエロゲームの監督こそ、庵野秀明さん。
いまや『新世紀エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』で世界的に有名な大監督です。
私も庵野監督も、エロゲームを作ったことを恥ずかしいと思ったことも、隠したこともありません。
その後の活動に支障をきたしたこともありません。

 というわけで、経験者としては、息子さんの説明も「一理ある」と思います。

 同時に、あなたの「息子には人を傷つけるもの、子どもに見せられないものを仕事にしてほしくない」
という価値観にも「一理ある」と思います。
だから「そんな仕事に加担したくないから、残りの学費や生活費を出さない」のもしかたないでしょう。
正直な話、18禁ゲームに関わってる程度で「海外に留学」というのはなんでやねん?と思っている私もいます。

 しかし、ひとつ問題があります。この理由で学費援助をやめても、あなたの望む効果はありませんよ。
アニメ業界では学歴はあまり関係ありません。現に、僕も庵野監督も、大学中退です。
なので大学を辞めたとしても将来、息子が大成功して庵野監督のようにメジャーになるかもしれません。
鳴かず飛ばずのままかもしれませんが、それはしょせん、本人の才能と、やる気と、運次第です。

 ただし、どっちにしても息子は、あなたが自分のやりたいことを認めず学費を止めたことで、
非常に傷つき、あなたを恨むでしょう。
おまけに学歴は関係ない業界だから、息子は自分の望む世界に行く可能性は高いです。

 まずは話し合いですよね。「あなたにあきらめられない夢があるのと同じに、母には譲れない信念がある」と。

 どちらも正義はなく、単なる好み・ポリシーのすり合わせと割り切って、話し合ってみてください。