>>542
 右上に雲を引っ張ると、奥に行っているように見えるじゃないですか。
 なので普通のアニメなら絶対に右上に雲を引っ張るんですけども、カリオスロトの城は そうじゃないんですね。

 カリオストロの城は、雲を真上に引っ張ってるんですね。

雲が上へ動く
http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/2/1/21e418e8.png

 ゆっくりと雲を真上に引っ張ってる。
 本来だったらば、雲は右上の方向に引っ張るはずなのに。

右上じゃない
http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/8/1/819bee37.png

 なのに、なんで真上に引っ張るのかというと、風が左上に吹いているからなんですね。

左上へ風が吹く
http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/7/d/7dc69303.png

 風が左上に吹いて、向いている方向が右上だから、合成ベクトルとして雲は真上に引っ張られるんですよ。

風の合成ベクトル
http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/a/8/a8844963.png

 みなさんもAmazonとかで カリオストロの城 があるので、このカットを見てください。
 雲を真上に引っ張ってるんです。

 真上に引っ張ってるっていうのは、引っ張りの予算がそれだけ安く済むからなんですね。
 実は 斜めに引っ張るって、撮影台を斜めにセットしなきゃいけないから、
手間がかかるし、金がかかるし、撮影さんが嫌がるんですね。
 でも真横とか真上は、撮影さんが大喜びでやってくれる。

 宮崎駿が何で雲の動きを真上の方向にしたかっていうと。
 こうすると雲が左上に流れていて、それに対して自分たちが左下に進んでいるから、合成ベクトルとして真上になる。
 そうすると、このシーンはすごい立体感があるんですね。

 単に、奥に車が走っているから、反対側に雲を引っ張るっていうと、二次元的な描き方になる。
 だけど宮崎駿は、頭の中でこのシーンを三次元で描いた。
 これ、雲を真上に引っ張ったら、絶対にメチャクチャ立体的な絵になって、スケール感が出る。
 本当にスケール感があるんですよ。