2018年03月21日07:00
『カリオストロの城』前史<3> 『リトル・ニモ』という夢の顛末
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51546047.html

 『夢の国のリトル・ニモ』の時の藤岡豊さんの活躍は、本当に神がかっていたんです。
 何がすごいかって、この原作を取ってきただけではなく、技術スタッフとしてディズニーの
『ファンタジア』とか『白雪姫』の時代のアニメーションを作った“ナイン・オールドメン(9人の老人)”
と言われる名アニメーターの中からフランク・トーマスと、オリー・ジョンストンという2人を連れてきたんです。
「9人の老人」とか聞くと「白雪姫か!」って思うんですけど(笑)。

 次に、プロデューサーにジョージ・ルーカスを呼んできて、脚本をレイ・ブラッドベリに書かせて、
おまけに日本側のスポンサーとして、サラ金のアコムを連れてきたんですね。
このアコムが、事実上“金の蛇口”と化して、ナンボでも予算を出してくれたんです。

 そして、「アメリカのアニメーション技術を教える」ということでナイン・オールドメンを出したアメリカに対して、
日本側が用意した、実際にアニメーションを作るスタッフというのが、宮崎駿と高畑勲と、
さっき紹介した近藤喜文たちだったんです。

 そんな、「今考えたら本当にありえないような日本のクリエイターたちを全員ハリウッドに連れて行って、
ナイン・オールドメンが彼らに向けて授業をする」という嘘のような話があったんです。
・・・
 この時、藤岡さんは、アメリカ側に高畑・宮崎の実力を知らしめるために、
ようやっと完成した『カリオストロの城』と『じゃりン子チエ』の字幕版をハリウッドに持って行って、
現地のスタッフたちや、ハリウッドの業界人たち、映画作家たち、ついには、
アニメーションに関心があるテレビのプロデューサーとかに向けて上映会を開き、見せて見せて見せまくったそうです。

 その時のアメリカ側のパニックになり方がとにかくスゴかったそうなんですよ。
 ナイン・オールドメンは、『カリオストロの城』を一目見て「これを作ったやつらに俺達が教えることが本当にあるのか?」
と言ったくらいですし、そこで偶然にも『カリオストロの城』を見ることになったスティーブン・スピルバーグは、
いまだに「俺がカーチェイスシーンを撮らないのは、『カリオストロの城』に勝てるはずがないからだ」と言っている。