2016年11月11日
岡田斗司夫氏が斬る!

『トランプ大統領誕生の本質は「王殺し」だった』

https://www.sbbit.jp/article/cont1/32892


世界中が驚きをもって迎えた「トランプ次期大統領」誕生のニュース。大統領選が終わってから、
研究者、評論家などがトランプ氏勝利の理由をあらゆる角度から読み解こうとしている。

社会評論家の岡田斗司夫氏は、アメリカ国民の中で醸成された振れストレーションと、
古来からの人間社会の有りようの2つの観点からトランプ旋風を分析した。このできごとの背景にあった「王殺し」とは。

執筆:岡田 斗司夫

多くの予想に反して大統領選に勝ったトランプ氏。その背後には人間の逃れられない本質があった。


●「プロ」の政治家にイライラしているアメリカの有権者たち

 2016年の政治関連で、最大の話題の1つが米国大統領選挙での「トランプ旋風」でしょう。

 米国の不動産王ドナルド・トランプが大統領候補として名乗りを上げ、いつの間にか共和党の正式な候補にまでなってしまいました。
そして、当選し、次期大統領を射止めてしまいました。

 1980年代の半ばに、私はニューヨークのトランプタワーに行ったことがあります。
当時、私はアニメ映画の『王立宇宙軍オネアミスの翼』を制作中で、ポストモダン建築を取材するためでした。
2年ほど前にもまた訪れてみると、地下には「トランプ」ブランドのアイスクリーム屋があったりして「なんだこれは!」と驚きました

 ほかにも、トランプの名前を使ったお土産屋だとかレストランがたくさんあって、
まるで叶姉妹のようなキャラクタービジネスを展開していたんです。
そういう人が大統領候補として破竹の快進撃を続けたのは、本当に不思議でした。

 トランプ旋風の理由としてよく言われているのが、有権者が「プロ」の政治家にイライラしているということです。

 米国には確固とした政治家の出世街道があります。大統領になるためには、上院議員か下院議員にならなければいけない。
議員になるためにはまず州知事にならなければいけない。州知事になるにはまずどこかの市長に......。

 ワシントンDCを中心にした巨大な政治サーキットがあり、そのトラックの内側へ内側へと駒を進めて、権力の中枢に近づいていく。
それが米国の一般的な政治家コースになっています。