2018年02月28日07:00
シャーデンフロイデの謎2・人とサルの違い
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51545538.html

 他人の失敗を喜ぶ“シャーデンフロイデ”という感情を説明する前に、ちょっと面白い実験の話をしたいと思います。
 ジョージア州エモリー大学で行われた“ノー・フェア(不公平)実験”という話です。

 このエモリー大学は霊長類の研究で有名なんですが、この大学が“オマキザル”という、
グループを作って生活する人間にすごく近い猿の仲間を使った壮大な実験を行いました。

 どんなものかというと、猿の社会に貨幣を与えたんですね。

(パネルを見せる)ノー・フェア実験 http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/f/a/fad28336.png

 この写真で人間の手の上に載っている銀色の板が、
アルミニウムでできた“トークン”と呼ばれる貨幣です。
真ん中に穴が開いています。

このアルミでできたトークンをオマキザルに渡して、
いろんな果物と交換してあげたんですね。

 すると、オマキザルたちは、あっという間に“貨幣”という概念を理解しました。

 最初は、「トークン1枚に対してリンゴ1切れ、ブドウ1粒」という交換率でやってたんですけども、
実験の次の段階では、時間を決めて「トークン1枚でリンゴが2切れ貰える」
というバーゲンセールというのをやったんですね。
すると、オマキザルたちは、リンゴの交換所に列をなして、リンゴばかりを欲しがるようになりました。

 つまり、トークンの交換率が変わることによって“損得勘定”というものを理解するようになったんです。
 こんなふうにして、段々と実験のレベルは上がっていきました。
・・・
 サルは貨幣の価値と意味を理解して、ついにはビジネスまで始めます。

 研究者も驚いたことに、オスのサルが交尾をしようとメスのサルに近づくと、メスのサルはそれを拒否して、
オスのサルが持っているトークンを見たんですね。すると、オスのサルは、
メスザルにトークンを渡してセックスをさせて貰うということがあったんです。

 やはり、人類最古のビジネスは売春であったという、そんなすごい実験なんですけど。
ちなみに、そのメスザルはトークンを受け取ると、すぐにブドウを購入するための列に並んだそうなんです(笑)。

 あとは、トークンと交換できるものとして、果物の他にも、キュウリも出してたんですよ。
そのスライスしたキュウリは、ちょっとアルミっぽい色に光って見えるので、
一生懸命、噛んで真ん中に穴を開けて“偽造貨幣”を作ろうとするサルも現れたそうです(笑)。