>>550
 では、僕らのアニメはその結果どうなっていくのか。
 「アニメはおそらく滅びるだろう」というのが僕の考えです。悪いけどね。

 なんで滅びるのかというとですね、日本のアニメの強いところというのは、
 一番最初の話に戻って考えると、すごく特殊に進化したものだからです。

 つまり日本中の子供たちが好きになるものとか、世界中の人が見れるものとかではなくて、
 かなり変なものを作るところから始まってるんです。

 これは日本のアニメが持ってるというか、日本の文化自体が持ってる中間層がすごく分厚いという特徴なんですね。
 マンガも、大ヒットマンガとクズマンガの間の膨大な、面白いんだけど、そんなでもないというのがあればあるほど、
 マンガっつうものは面白いわけです。

 2極化っていうのは文化を潰しちゃうんですね。

 韓国とか中国とかのアニメ制作とかマンガ製作が、なんでうまくいかないのかというと。
 中間層を分厚くするということがどうしても出来ないからです。

 どうやっても国家が保護してあげる、応援してあげるような超メジャーマンガを作るか、
 もしくは日本の下請けとか日本の真似でダメなものを作るかのどっちかになってしまう。

 じつはこの中間層の「面白いのか面白くないのかわかんないよ、よくわかんないよ」みたいなものを山ほど作ることによって、
 これを僕はピラミッドの底辺がデカければデカいほど、ピラミッドの山は高くなるという例で話してるんですけど。

 中間層と底辺とがデカくないと、この高さが稼げないんですね。Netflixというのは、そういうものに向いてない。
 いわゆるグローバリズムであって、全世界で見れるものというふうにどうやっても文化をもっていっちゃうんですね。

 つまりAmazonというのが、出版社をだんだんだんだん淘汰していって、Amazonで売れるものっていうを、
 ものすごく売れるものが狙えるのと同時に、ほんのちょっとしか売れないような小規模出版も助けてる。

 その結果、何が起こってるのかって言うと、出版社の倒産や、書店の倒産が起こってるんですね。
 では、日本人が読んでる本というのが減ってるかというとそうじゃなくて、僕らの読書体験自体は増えてると言われてるんですね。