>>139
 佐助は、「なんと、五重塔の天守閣!」と驚きます。天守閣というのは、いわゆる物見台であって、
観測のためについているものなのに、それがあたかも五重塔のようになっているんです。
佐助は「このお城、金閣寺と合体してるじゃん!」と思ってビックリしたんですね。

 すると、その反応を見た信長のお付きの人から、「信長さんはあそこに住んでるんですよ。あれ、住居なんです」って言われて、
「ええー? 天守閣を五重塔にして、おまけに中に住む? なんて破天荒なことを考えるんだ!」と、さらにビックリするんです。
・・・
 で、城の中にはいった古田織部は、「ここにいると宗易(千利休)殿の茶室とは真逆の興奮が……!」という感想を漏らします。

(パネルを見せる) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/0/4/04f82e42.png

 つまり、千利休の茶室を見て、「これは数寄の要塞だ! 無駄を取り払うということはカッコいいんだ!」と思い知ったはずの古田織部も、
それとは逆に徹底的な装飾を凝らして作られた信長の城を前にして興奮を押さえられない。安土城とは、そういう場所だったんですね。

 信長の元に行くと、上半身裸でひたすら仕事をしていた信長が、「ハロー」みたいな気さくな感じで、
「ボアノイチ!」というポルトガル語で挨拶してくれる、という流れになっています。

 千利休にとって、信長のこういった舶来好みとか、華やかな世界というのは邪魔なんですね。
 千利休としては、安土城を黒く作るんだったら真っ黒にして欲しい。
なのに、信長は「おお黒、カッコいいじゃん。その上に金をあしらおう」という、
なんか、池袋のヤンキーみたいなことを言い出して、華やかに華やかにしちゃうんですね。

 さっきの部屋を見たらわかる通り、信長は舶来好みで、めっちゃ派手なんですよ。
なので、「黒こそが至高の色である」という自分のコンセプトに、とりあず理解を示して学ぼうとしてくれている秀吉を使い、
この信長を暗殺したというのが、『へうげもの』の中で描かれている歴史の事実であります。
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この記事は『岡田斗司夫ニコ生ゼミ』2月11日(#217)から一部抜粋してお届けしました。

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