>>768
 これはガルバーニの有名な肖像画なんですけども。肖像画にもしっかりカエルの死体と電極が描いてあるんですよね(笑)。
そんな嫌な肖像画が後世に残ってしまっているんですけども。
 これはもう、本当に大センセーショナルな発見でした。

 この話は、一昨年にも話したんですけど。
 当時でもヨーロッパの高級サロンでは、スポーツとか芸術の話題と同時に、こういった科学の話題がもてはやされていました。
 そんな中、スイスのレマン湖の畔のホテルの別荘にこもっていた時に、このガルバーニの論文の載った新聞記事を読んだ、
詩人として有名なバイロン卿は、駆け落ちしてきた友達のパーシー・シェリーという男と、当時わずか16歳だった婚約者のメアリーという女の子に、
「これ、すごいじゃん! 俺たちでこれを小説にしようぜ!」って言ったんです。「おう! みんなで書こう!」となったんですけど、
結局、書いたのは、16歳のメアリー・シェリーだけだったんですね。

 そのメアリー・シェリーが後に書いた、電気で人体が動くという小説が『フランケンシュタイン』です。
これは、まあ、1年半くらい前に話した通りです。

 このフラップターというのも、SFとはいっても、歯車やシャフトでできているメカなので、僕ら現代人でも理解できるですね。
まあ、「人工筋肉が使われている」というあたりから、そろそろSFになっているんですけど。
・・・
 さて、『ラピュタ』の中で描かれる様々なテクノロジーの3つ目、ロボット兵ですね。
 もう、これに関しては、言い訳のしようがなく完全にSF的な技術で作られたものです。

 映画の中でも、「我々には、このロボットの材質が粘土なのか金属なのかもわからない」というふうにムスカが話すシーンがあります。
それくらい、全くわからないものとして描かれています。

 素材は伸縮自由。宮崎さん自身の設定によれば、柔らかくも固くもなれる“形状記憶セラミック”とのことなんですけど、
もう、なにがなんだかわかりません。
 分解も出来ないし、修理も出来ない。その上、部品寿命がどれくらいあるのかすらわからない。
なんせ、落ちて壊れた機体以外、ほとんどが今でも動くことが出来るんですよ。

 もちろん、あまりにも年数が経ってしまったことで朽ちた機体もあるんだけど、それが朽ちた理由というのもわからない。
機体内部の可動部分が摩耗したと考えるのが、僕らの常識の中では自然なんですけど。
しかし、少なくとも、千年間放っておかれた他のロボット兵が普通に動いているので、
もしかしたら、稼働部品の摩擦がゼロなのかもしれない。そんな恐怖のメカです。

 動力源も、燃料なのかバッテリーなのかというところから全くわからない。
胸の部分からロケットを噴射して空を飛んだり、加速することはわかるんですけど、
ロケットを噴射するために必要な燃料がどこに搭載されているのかも、まるで見えてこない。
 そんなふうに、全くわからない技術なんですね。
・・・
 だけど、戦艦ゴリアテの大砲を至近距離からドーンと撃たれたら、一応、壊れたというところから見ても、
このロボット兵というのは、これでもまだ、ラピュタ文明のメカの中では下等な方なんですよ。