>>722
 ここからの状況説明のためのナレーションも、一つ一つのセリフがメチャクチャ被ってるよね。
 『シン・ゴジラ』では、こういう場面では、最初のセリフに被せ気味に、
 次のセリフを入れてるんだけど、これがスピード感を生んでいる。

 普通の邦画って、どうしてもこういうセリフを聞かせようとしちゃうんだよ。
 ナレーションとかがあったら、絶対に言葉を被せずに、セリフを言い終ってから
 0.5秒くらいの間を置いて次のセリフを入れるものなんだけど。
 このセリフの入れ方は上手い。

 このニコニコ動画みたいなカットも、セリフ、下のテロップ、
 画面上に流れるコメントっていう、情報量がとにかくすごいよね。
 こういった圧倒的な情報量で緊迫感を生み出す画面作りは本当に上手いよ。

・・・

(0:18:50〜 自衛隊の防衛出動を検討するシーン)

 この、会議で人が喋っている画面に法律の条文が被るのは面白いね。
 「延々延々、法律に振り回されて話が進まない」という場面で、
 その前提となっている条文を画面にバッと出すというのは、実はギャグなんだよな。

 でも、それ以上に、これをやることで画面全体の見栄えが変わる。
 『シン・ゴジラ』では、とにかくアブノーマルな構図や、
 こういった見た目の移り変わりというのを最優先して画面を作っているんだ。

 なぜなら、この映画って、放っておいたら
 部屋の中で人が話しているだけのシーンばっかりになっちゃうんだよ。
 面と向かった会議のシーンというのは、緊迫感があるように見えるんだけども、
 これをずっと続けてたら、すぐに単調化するんだ。

 だから、今の、法律の条文がそのまま表示されるみたいな、
 見た目的に面白い場面を入れているんだね。