2017年08月23日07:00
村上隆さんから聞いた「日本と海外の美術教育の違い」
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51539411.html

 以前に村上隆さんからおもしろい話を聞きました。
 海外と日本の美術教育は何が違うのか。
 実は日本の美術の教科書はめちゃくちゃ薄いんです。
 すぐに子供に画を描かせる。個性を出せと言い過ぎる。
 たぶん先生方は学校教育は個性を押さえてしまうと考えているのでしょう。
 だからせめて体育とか美術は、治外法権的に個性を出していってバランスをとろうとしちゃう。

 でも海外の美術教育は違う。
 アメリカとかドイツとかフランスとかの美術の教科書はめちゃくちゃ分厚いんです。
 それは過去の名画といわれるものが何故名画なのかを、
 理論とか構造をちゃんと教えて、おまけに模写もさせる。
 名画の模写をやらせて、何がスゴイのかを自分の手でわからせる。

 でも日本の美術教育で模写なんてことをほとんどやらせない。
 好きに描いてみようという風に言う。
 設計とか建築とかって絶対に初心者に「好きに」とは言わないじゃないですか。

 基礎が出来るまで真似させた方が、実は独創性というのは伸びる。
 真似することによって技術ができることによって、ようやっと個性というのが照らされる。
 技術もないのに、個性やっても中途半端に周りから器用だね、
 上手いねといって褒められて、そこで終わっちゃう。

 そうならないためにはまず、最初に徹底的に技術を教え込む。
 いろんなことを教えるために美術の教科書を分厚くしておいた方が、
 実は中学校高校に入ってから、趣味として画を描く人が増える。
 それが欧米の考え方。確かに欧米はそれで上手くいってるんですよね。

 なので美術館に行く人口もわりと男女比がそれなりに整っているんです。
 でも日本の美術館は、おばさんがなんか定年後に行ったりするばっかりになっちゃうんですよ。

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この記事は『岡田斗司夫ニコ生ゼミ』7月9日(#186)から一部抜粋してお届けしました。

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