>>424
気付いた署長が、「うわーっ、俺の息子は無事か!?無事か!?」って焦りながら、
向こうから砂浜までダーッと走って来るんだけど、人がいっぱいいて見通せなくてよくわからない。
やっと助けられている自分の息子を見つけるんだけど、グターッと倒れたまま水面の上をずーっと引きずられてるんだよ。
小さい子供が引きずられているのをカメラが頭からゆっくり舐めるように撮っていく。
胸、腰と撮って、脚から足先まで映って、ようやく無事なのがわかる。
それまでが、すっごく怖い。

やっぱり、冒頭2つ、2人続けて脚を食われるというシーンを出した後に、脚をゆっくり映して見せるっていうのは、
見ているこちら側をドキドキさせるうまい演出法だと思う。
でもスピルバーグのこの演出は悪意があるよね。

なぜこのシーンが怖いのか。
「脚が食われてるかも」って思うから怖いんだよね。
それって、脚が食われているんじゃないかと、心のどっかで期待もしてるからこそ感じる恐怖なんだよ。
脚が食われていることを「期待してるけど、同時に恐れている」。
その両方の感情があるからこそ、このシーンが怖く見える。
どっちが欠けても怖くないんだよ。

映画ってこんなこと出来るんだって驚いた。

主人公が焦ってる顔。
次に青白い子供の顔。
ゆっくり引きずられていく子供。
その子供を頭から足元までカメラが舐めて行く。
そして、ちゃんと足先まで映ることで、監督の意図がわかる。
その時点で観客は、安心すると同時にがっかりする。
そうやって、自分の中の残虐性とか、それに対して期待している己というのを思い知らされて、ぞっとする。

うわーっ、これってすごいなあー!と思った。
それから『ジョーズ』はマイフェイバリット映画1になってね。必要もないのに『ジョーズ4』まで見てしまったよ。
『ジョーズ4』くだらないよ!本当に。
2、3と回を追うごとにくだらなくなっていくんだよ。