>>809
 そんな感じになっているので、永津野藩の方から、人が散り散りに逃げようとしているんだ。
一応、国境のところに防衛線が引かれていて、「一切逃がすな!」ということになってるんだけど、
なんか“ベルリンの壁”みたいな状態になってるんだよね。
 そんな中で、突然、村が1つ丸ごと消えちゃったもんだから、両方とも相手を疑う疑う(笑)。

 で、そこで出てくる正体不明の怪獣がね、すげえんだよ。
・・・
 さっき、「シン・ゴジラの元ネタ」と言ったのはどういうことかというと。
 一番最初に出てきたのは、トカゲのようでいてガマのようでもある……小説だから
いろいろ抽象的な描き方で出てくるんだけど、そんな怪獣で。
 おそらく、体長は2〜30mくらいなんだけど、最初のうちはその正体が全くわからない。
なぜかというと、これは後にわかるんだけども、そいつは体表面の色をカメレオンみたいに自由に変えられて、
消えることもできるんだよね。
 なので、最初は夜中に現れるんだけども、その後の昼間に現れる時の描写では、竹林がザワザワと音がして、
何かと見たら、遠くの方から、竹がワーッと2つに分かれて行くのが見えるんだ。
だけど、「あれはなんだ!? あの竹の下にどんな大きいものがいるんだ!?」って、目を凝らしてもよく見えない。
当たり前だよね。保護色みたいな形になっているから。
 その竹林から出て来た怪獣がというのが、巨大なトカゲみたいな状態で、それが人を襲って食うんだよ。

 宮部みゆきの筆力(小説を書く力)って、たぶん、日本で一番上手いんだよね。
 その日本一の作家が、本気で怪獣小説を書いちゃったもんだから、おまけに、本人も
「これは絶対に映像化は出来ないだろう」 という感じで書いちゃったから、迫力がすごいんだ。

 そのトカゲ型の怪獣は、ものすごく速く動くんだけど。「あんな足で、どうやって速く動くんだろう?」と
よく見ていたら、手足をひっこめてヘビ状の身体になって、ズルズルっと谷底へ滑り降りてるんだよ。
……もう、これ、どう見ても“蒲田くん”なんだよな。あとは、口から胃液みたいなものを吐くし、
「蒲田くんのイメージ元はこれか!」っていう(笑)。

※蒲田くん … 『シン・ゴジラ』の第二形態の俗称。蒲田に上陸した、やや可愛らしいフォルムの怪獣なので、
ファンの間ではこんなふうに呼ばれることがある。