2017年08月21日07:00
『シンゴジラ』の元ネタ、宮部みゆきの怪獣小説『荒神』がスゴすぎるという話
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51539408.html

 「シン・ゴジラ1周年企画」ということで、『シン・ゴジラ』の元ネタとなった作品を紹介します。

 まず、『荒神』。荒神と書いて「こうじん」と読みます。宮部みゆきの小説ですね。
これ、実は、朝日新聞に連載していた新聞連載小説なんだよね。
 新聞連載小説って難しくて、一日あたり、単行本でいうと“一見開き半”くらいしか載せられないんだよね。
その掲載枠の中で、ある程度、面白くなきゃいけないんだけど、それを1年やっているんだよね。
連載していたのが2013年から2014年の春までなんだけど。めちゃくちゃ面白いんだよ。
・・・
 関ヶ原の合戦から、ちょうど100年後くらいの話なんだけど。
 東北の方に2つの藩があった。1つは“永津野藩”。もう1つは“香山藩”と書いて、
たぶん「こうやま藩」と読むと思うんだけども。
 もともとは1つの国だったのが、内紛があって2つに分かれて、関ヶ原の戦いで片一方が西軍を裏切って東についた。
つまり、「外様なんだけども家康さまの覚えめでたく、藩として認められた」という感じなんだ。
 この2つの藩は、めちゃくちゃ仲が悪いんだけど、「この国境の村が、一夜にして消えてしまった」というのが、物語の発端なんだ。

 だけど、両方の藩とも、「村の人が消えた」ということがわかってからの初動捜査がなかなか上手くいかない。
なぜかというと、この永津野藩と香山藩というのは両方が仲が悪いからなんだ。
 香山藩の藩主はなかなか立派な人で、“新田開発”と言って、山をどんどん畑にして増やしていくから、
元は小さい藩ながらも、だんだんと財政状況が良くなっていく。

 ところが、それに対して、もう1つの永津野藩というのは、香山藩より大きい国な上に、昔は金が出で、
そこそこ潤っていたもんだから、何も殖産していなかった。つまり、新たな産業を興してなかったんだよね。
 で、今さら、蚕の養殖を始めて絹を売ろうとしてるんだけども、この間まで金山から金が出ていたから、
武士たちの心はなかなかそっちにいかない。
 おまけに、ただでさえ食べるギリギリの量しか米が獲れないのに、「蚕を飼え! 桑の畑を作れ!」って、
田んぼを潰していくわけで、「桑を育てて、蚕を飼って、糸を取って、絹にして、絹織物を作って、
都に持って行って、売れてと、金が入るのは一体どれだけ先の話なんだ!?
その間、私たちは飢えて我慢しなければいけないのか!?」って、百姓がすごい反乱を起こすのね。