>>135
 なんかね、このメアリってさ、ジブリがなくなったあと、(正確には、まだなくなってないんだけど)スタジオ・ポノックというのが作られて、
 「彼こそが宮崎駿の正当な後継者だ!」みたいな流れで紹介されてるじゃん。
 でもね、そこでやってることって「本家の店が潰れたから、秘伝のタレだけを持ってきて、別の料理に塗ってみました」みたいな感じでさ。
 「薄めすぎたカルピス」とか「秘伝のタレ」とか、例えが全部食い物になっちゃってもうしわけないんだけども(笑)。
 俺、そんな感じがしちゃうんだよね。
・・・
 中身の話で言うとね、「登場するキャラが、まあ少ない」。
 主人公のメアリと、彼女と一緒に住んでいるおばさまと、家政婦さんと、庭師。あと、彼氏みたいなやつ。
 それと、メアリをさらうマダムという魔女と、その隣にいるドクター。この7人だけで、1時間40分の間、話を回すんだ。

 途中で、メアリが間違われて魔法大学に入学するんだけどさ、その魔法大学にいるヤツらが、全員“お面”をつけてるんだよ。
 だからといって、別に不気味なキャラクターというわけではなくて……みんなで学生食堂で飯食うシーンとかがあるんだけどさ(笑)。
 つまり、単に「みんな表情がないだけ」なんだよね。
 これ、どういうことかと言ったら、たぶん、「描きたくない」んだよね。「この7人以外の話を増やしたくない」というのが、もう丸わかりなの。

 メアリが街におつかいに行くシーンでも、行った先の街に人の気配が全くなくって。
 そこでピーターという彼氏みたいなヤツとすれ違うんだけど、「他に人がいない街でのすれ違い」なんだよな。
 他にも、途中で「魔女のマダムとおばさまの間には実は因縁があって〜」みたいな話があるにも関わらず、
 魔女が追いかけて来る時に、マダムと叔母様はエンカウントしないんだよね。久しぶりの再会のはずなのに。

 もう、これはね「監督が人間嫌い」なんだよ。
 手抜きとか、そんなんじゃないんだよ。作画なんて、ものすごい手間が掛かってるんだよ?
 クライマックスの『ジュマンジ』みたいな感じで動物とかがワーッと溢れてくるシーンがあるし。

 そういう作画の本流を見ていると、余計に、この監督の“病的な感じ”が浮き上がってくるんだよね。
 「俺、人間嫌いですから!」っていうのが(笑)。
 『思い出のマーニー』とか『借りぐらしのアリエッティ』を振り返ったら、やっとわかるんだよ。この監督、人間が嫌いなんだ。
  マーニーとかアリエッティで感じていた、あの不思議な感じって、実はそれだったんだよね。

 まあ、こういう不思議な感じは、あの作品の世界観の中だったから良かったんだけど。
じゃあこれが、いよいよ「ジブリのメインストリームを手掛けた同じ大物監督を使います!」って作品を作らせた時に、
この「監督の人間嫌い」というのがまともに出ちゃったんだよな。
・・・