>>963
【感情のアナ雪と、ロジックのカーズ】

 脳ではわかってるけど身体ではわかってないから、マックィーンが引退する理由とかね。
 なんで次世代のマックィーンに応援されてレースを走る車があって、交代劇があるのかっていうのが、
 理屈ではつながっているんだけども、見ている人間の感情レベルで上手くつながっていないんですよね。

 あれだけ、とんでもなくいい加減なロジックの説明しかない『アナと雪の女王』があって、
 雪の超能力を持っているお姉ちゃんが、もう私なんていらないのよ、私はもう雪の世界で生きるの! とか、
 「寒くはないわー♪」って歌いながら、雪の国を作ったら、そこに、「お姉ちゃん、お姉ちゃん、それは誤解よー」と言って
 妹が来て、最後は帰ってきて仲良くなって、2人で雪のテーマパークみたいなのを作るみたいな(笑)。

 ものすごいデタラメな話があるんですけども、ストーリーのロジカルは、本当に『アナと雪の女王』って
 近代稀に見るくらいデタラメなんだけど、感情というか動機はものすごいぴったり合ってるんですよね。

 だから見ている人間は歌を聴いて気持ちにシンクロしていたらすんなりと見れるんですよ、
 だからちゃんと感動もできる。『カーズ/クロスロード』はそれと反対にあらゆるロジカルな部分は整合性があって、
 セリフも全部それで間違いないんですけども、見ている人間の感情が乗っていかないので、
 理屈で説得されたみたいな不思議なものになっちゃってる。

 それは多分監督とか作っているスタッフがまだラセターの引退なんか本気で信じてないし、
 そんなもの引退劇っていっても宮崎駿が結局引退しなかったのと同じようにラセターも
 どうせ現場に帰って来るだろうと思っていることが、関係してるんじゃないかなと僕は邪推しております。