電話の相手は、フレッド・パッテンという日本の漫画とかアニメの研究家。
「手塚治虫の研究」では第1人者とアメリカでは言われている。
日本を含めても、本当に夏目房之介の次くらいに手塚治虫に詳しいのがフレッド・パッテンなんだ。

その人から電話がかかってきて、なんかがなってるんだよ。
「トーレン、サンフランシスコ、ケーブルテレビ局つけてみろよ!すげえぞ!」って言ってるんだよ。
「俺が出てる、俺が出てる!」って。
「何?何のこと?えっ?ほんと??」ってトーレンも大騒ぎしだした。

その頃は、ウォルト・ディズ二―・アニメ『ライオンキング』の公開がまさに始まったばかりだった。
その『ライオンキング』が、実はオサム・テヅカが作った『Kimba the White Lion(ジャングル大帝)』の
パクリではないかという検証番組がテレビで放送中だという。
急いでテレビをつけたら、その番組でフレッド・パッテンが「ひでえよ、あれ絶対パクリだよ!」
ってガンガン言ってる映像が流れてたんだよ。

もうトーレンも大喜びで、「これは録画だ!」って。ビデオに録画しながら、
ミスターおかだぁ、あなたにもこれのダビングをあげるから!って興奮してる。
録画を開始したら、今度は友達にガンガン電話し始めた。

「見ろよ見ろよ、すげえすげえ!やってるやってる」って。
このパクリ問題って、マニアの間ではみんな言ってたことなんだ。
でもまさかメジャーなニュースで取り上げられるとは誰も予想してなかったんだよ。何しろディズニーだし。

フレッド・パッテンもインタビューを受けた時に、これはどうせディズニーから
横やりが入ってオンエアされないだろうと思っていたらしい。
そしたら、きちんと尺を取って、「さあこんな問題が起こっています!」という風にやったんだよ。
それがまた、ものすごく良心的なニュース番組でさ。
検証映像ということで、比較画像もきちんと見せるんだよ。

さあどこが似ているでしょうか?
白いライオンが主役で、そのお父さんライオンは殺された。同じですね!
お父さんライオンを殺したのは、おじさんライオン。片目が潰れていて、顔に傷がある。同じですね!
その片目ライオンの部下は、2匹のハイエナ、同じです!
少年時代のライオンを導いてくれるのはこんな感じのオウム、同じです!
誰にでもパクリとわかるように作ってある。