ケモショタ好きな♂の俺が来ましたよ 3人目
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それは、銭湯での話だ。
いつも行きつけの銭湯は、
夜の10まで営業しているのだが、
閉店間際の時間ともなると、中はガラガラになる。
その時間帯に、ゆったりと風呂に入るのが、
週に一度ほどの楽しみだ。
小銭を払い、
番台に軽く会釈をすると、
そんな、だれも居ない、大きな浴場へと足を運び、
一人悦に入るの。
鼻歌なんて歌いながら、いい気分でいると、
もう一人お客がやってきた。
プライベートを邪魔されたようで、不貞腐れながら、
その姿を見る、
背の低い、兎系の獣人の子供だった。
この時間には、少し不審な年齢だ。
親と一緒なのだろうか?
なんてことを考えていると、
そのウサギの子はこちらを一瞥した後、
椅子と桶を用意して、体を洗う準備を始めた。
その一連の動作を、
別に誤魔化すことも無く、ジーッと眺めていると、
その子の動きが止まる。
何やら探しているようで、
浴場を見渡す仕草を見せている。
その内に、こちらは何を探しているのか、
何となくわかった。
いつも無料で備え付けてある、石鹸だろう。
だが、残念なことに、ここソイツを最近持って行ってしまう客が多く、
しばらく置くことを止めているのだ。
どうするのかと見ていると、
何の対策を講じることも無く、
お湯を出し、そのまま何もないままで体を流し始めた。
なんだか、不憫に思えて、
自分の持ってきた入浴セットを脇に抱えると、
その子に近づいた。
「良かったら使え。」
その子がこちらを見る。 どうしようかと思案しているのか、
その入浴セットを見ながら、その子の手がピクピクと動く。
しかし、なかなか受け取ろうとしない。
痺れを切らしてきたので、セットを床に置く。
「中身少ないからさ、使ったら捨てておいてくれよ。
タダで使うのが忍びないって言うなら、それでチャラ。な?」
笑顔も作らずそう言い放つと、
再び浴槽へもどり、身を浸からせた。
しばらく無言で見つめあった後、
顎でクイクイと合図をやると、
その子はペコリと頭を下げ、
「ありがとうございます」
と、笑顔で言った。
ただ、その笑顔は、あまりに偽物だった。
静かな時が続く。
わしゃわしゃと、その子が体を洗う音だけが響く。
別に、会話しなくてはいけないという事も無いのだが、
何となく、気付いたことを口にした。
「男娼か?」
その子の手が止まる。
「はい。」
応える。
例えばそれは、臭いだとか、
体の毛の乱れ方とか、また、面白みのない笑顔だとか・・・
そこら辺から推測したことで、
大した推理でもない。
しかも、普通あまり立ち入られたくないような内容だろう。
それなのに何故尋ねたのか、
理由なんてない、興味本位だ。最低だが。
「好きでやってんの?」
「はい。」
その質問には、ノータイムで応えた。 浴槽から上がり、
その子へと近づく。
その子の目が、こちらを捉えた。
実に複雑な目でこちらを見る。
主に不安、それがわかる。
俺は不意に、その子の右手を手に取った。
「この手で、お客を悦ばせるわけだ。」
その子の手が震えている。
そんな事はお構いなしに、
こちらはその手を、
揉みしだいた。
「俺もこの手で、お客を喜ばせる。」
「あぅっ・・・!」
手の付け根の辺り、
そこにあるツボを存分に刺激してやると、
その子が息を漏らした。
にやりと笑みがこぼれる。
目を細めるその子の姿、軽く開いてしまった口、
あぁ、もっと喜ばせてやりたい。
俺は、手のマッサージを後にして、
頭を掴むと手馴れた手つきで洗い始める。
「同じだな。」
しばらく無言が続く。
その内に、その子が口を開く。
「・・・たいです。」
「ん?」
「僕も、悦ばせたいです。」
その子がこちらを見て、妖艶な笑みを浮かべた。
何か、どこか間抜けで思わずこちらも吹き出す。
「スゴイのか?」
「それはもう。」
「俺の番が終わったらな。」
「えっへっへ〜、張り切っちゃいますよ?」
二人で変な笑い声をあげながら、
その後も馬鹿な会話と
「ちょっとした」じゃれ合いを楽しんだ。
それが、今家に居るウー太との、
初めての出会いだった。
〜素晴らしきバスタイム〜
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