4月某日 ジュネーブでの緊急IOC総会を
世界中がかたずをのんで見守っていた
バッハ会長がスピーチの後、封筒から一枚の紙を取り出す
…「LONDON」
東京五輪が完全に消滅した瞬間だった
立錐の余地もないトラファルガー広場で、年初のEU離脱に続く歓喜に沸くロンドン市民
すでに代替開催を想定して準備万端整えていたため招致成功は確信していた
一方東京では、マスクをつけた都民がアルタ前のビジョンの前で泣き崩れていた
「覚悟はしていたとはいえ悔しい…」「これからどうなるんだろう」

3か月後の7月24日、ロンドンオリンピックスタジアムに8年ぶりの歓声が帰ってきた
開会式で晴れやかに行進する各国選手の中に、いるはずだった日本選手は誰一人いない
日本は今回のコロナウイルスに関しての不手際でIOCを除名されたのだ
スタジアムの選手は口々にIOCの決断に謝意を示した
「ロンドン最高!」「安心して競技できる」「最初から東京なんか行きたくなかったよ」