この頃しきりに思うこと


数学科への入学者の中で数学を学ぶに適性を有するものは60%〜70%であり,30%
前後の学生には資質的な問題があると考えるべきかも知れない。

各学年に数名の非常に優れた学生がいる。この人達と他の学生達の間には,4年生に
なったとき,天と地程の違いが生じることがある。一方が大学院レベルの数学を使い
こなし始めるに比して,他方は学部1年生レベルの数学に習熟しないのである。

大学教員になって満30年が経った。今,日本の大学教育は,衰退の一途を辿りつつあると思う。

「十数年前の大学進学予備校のクラスで,中学校レベルからやり直し,どこかの大学に押し込むことだけを
目標とした最低クラスの学生達よりも,現在の国立大学の学生達の学力の方が低い。」との報告がある。
入学時に学問への動機付を持たず,入学後にも学習と勉学への動機付を得られず,いつまで経っても自分に
自信が持てず,だらだらと遊んで社会参加の時期を引き伸ばし,卒業することだけが目標の低学力の大学生
というのが,現代日本の大学生の実態なのであろうか。

大学の教職員は研究と生活が懸かっているから,実態に呆れ深く失望しても,大学なんか潰してしまえとは
口にできないし,決して口にしない。大学生達も,自らを世界基準で評価すれば到底大学生とは言えないし,
他国の大学生達からは大きく引き離されていることを知ってはいるが,重くは受け止めず,関心も示さない。
日本では周りに居る者が皆そうなのであるから,改善の必要がないのである。このようにして日本の大学の
多くが,次第に存在理由を失い,大学教育は衰退を続け,退廃に陥る。

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