ここまで「理の親」について論じてきた中で、
理の子の社会的立場の低位固定化を中心に考察してきた。
つまるところ、理の親制度は理の親のために存在するしかないと私は考える。
参勤交代で大名の財力と武力を劣化させることで徳川政権が単独で維持してきたのと
同様の構図である。
徳川政権は長期政権として太平の世を築いてきたというメリットもある。
しかし、リーダーとしての個を確立するために自身のポテンシャルを
向上させるよりも、周囲を劣化させることで個を維持してきた弊害は大きい。
一番の弊害は、代々の継承する度に個の力は劣化していくということである。
だって誰とも競争しなくていいんだから。
周囲の人間の力を奪い、自分よりも弱い存在にすることで
自分の存在意義を主張するのは天理教の地殻変動的な緩やかな、
そして確実な衰退と同じ理路である。