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【東畑開人の週刊臨床心理学】(35) 中学受験の神様
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心はつらいよ/ハルマゲドンの後で
◆東畑開人
週刊文春(2021-02-04), 頁:64
https://www.zasshi.jp/pc/action.php?qmode=5&;qword=%E9%80%B1%E5%88%8A%E6%96%87%E6%98%A5&qosdate=2021-01-28&qpage=3
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 中学校に入学してみると、同級生たちもオウムの話ばかりしていた。皆、ポスト・ハルマゲドンの世界に混乱していたのだと思う。
ただし、1学期が終わる頃には混乱は落ち着き、それぞれがそれぞれの日常に着地して、中学生活を営んでいくようになった。
 私が着地したのは最下層劣等生の日常だった。1学期の成績表にすでに1つ赤点がついていて、その他の科目もすべて赤点
ギリギリだった。総合成績の細かい順位までは出さず、おおよその位置だけ示す学校だったのだが、私は下から5人の枠に入って
いた。ということは、ビリだった可能性もある。そして、中学3年間、その最下層枠から一度も出ることがなかった。
 もちろん、進学校だったから、周りのレベルが高かったのもあるのだが、それにしたって、まったく勉強ができなくなっていた。
というか、そもそも勉強に取り組むことそのものができなくなっていた。「もう勉強する必要はない、ハルマゲドンは終わったのだから」
最初はそう思って、勉強をしようとしなかった。だけど、最下層枠の同級生が1人、また1人と学校を辞めていき、新たなメンバーが
その枠に落ちてきて、そして辞めていく現実を目の当たりにすると、ハルマゲドンに終わりはなくて、新しい競争が始まっていたことは
わかった。それなのに、そう気付いた時には、勉強しようとしてもできない体になっていたのだ。これが本当に謎だった。

(続く)