昔から変わらない一つの傾向がある。
国公立大学の医学部医学科希望生は、現役合格に自信が持てなくなったとき、苦渋の決断を迫られる。
親に経済力があれば、少しは楽に合格できそうな私立医科大学を目指せる。しかし、そんな経済的余裕はない。
浪人したからと言って合格できると言う保証は何もない。
医師になるのは夢だけれど、ここは進路変更をして医師への道を断念するしかない。
このように考える受験生は、想像するよりもたくさんいる。
そして、ほとんど根拠のない考え方で、ワンパターンの進路変更をしてしまう。
「そうだ、歯学部にしよう or 薬学部にしよう」
医学部を断念した人は、判で押したように、歯学部や薬学部を目指すようになる。
似て非なるものであるにも拘わらずだ。
なんとなく近い世界だからなのか? それとも医師ほどではないにしても、
職業として、名誉と経済力が満たされるとでも思えるからなのか?
もちろん歯科医師、薬剤師は社会にとって重要な人達だ。
しかし、現在では、あまり有利な職業とは言えない状況になっている。
現実的なことを言えば、高収入は期待できないし、しかもその存在が過剰になっているからだ。
実は歯科医院はコンビニよりも多いそうだ。
ある統計によれば、日本全国には50000店のコンビニがあるそうで、
なんと歯科医院の数は、それを上回る80000もあるらしい。
この状況を見れば、どう考えても将来性には疑問を感じざるをえない。
薬剤師にいたっては、都市部においては就職難となっていて、大病院への就職はまず望めない。
医学部から他の分野への進路変更を考えている人は、短絡的に歯学部や薬学部を考えるべきではないだろう。
もっと幅広く考えるようにするべきだ。