アブラハムのカナンへの移住
さて、アブラハムには嫡子がなかったので、弟ハランの子で、妻のサラの兄弟になるロトを養子とした
彼は七五歳のとき、カナンへ移住するように神に命令されてカルデヤを発った。そしてカナンに居住した彼は、その地を子孫
たちのために残した。  彼はすべてのことに精通し、聞き手を説得することが巧みで、またものごとを推理して誤ることがな
かった。  そこで彼は、徳についても、他の人たちよりすぐれた見解を抱きはじめ、神について一般の人びとがもっている
通念を新しくし、改めようとした。その結果彼は、次のように大胆に宣言した最初の人物となった。

すなわち、万物の創始者である神はただ一つであり、また、他のものが人間の幸福に少しでも貢献するとしても、
それはそれぞれのものが神の命令にしたがうからで、けっしてそれ自身の内的な力によるからではない、と

彼はこのことを、地や海の変化、太陽や月の運行、そしてその他すべての天体の現象から推論した。  
彼の論法によれば、これらの天体がある力をもっているならば、それ自身の法則をもっているはずである。しかし、
それがないのだから、それらのものが共働してわたしたち人間のために与えてくれる大きな恩恵は、それ自身のもつ権
威によるのではなく、それらのものに命令する方の力によることは明白であり、したがって、わたしたちの崇敬と感謝は
その方にだけに捧げるのが正しいことになる、というのである。



4000年前のアブラハム以下やな