それでそのまましばらく夢に集中する
こればかりは寝る前に毎日自分に言い聞かせたり訓練するしかないんだけど、普段からこれ夢だとかそういうことを思わないように心掛けるのが大事
すると段々と夢の見え方というか感覚が変わってくる
最初はぼんやりと夢の中の自分を眺めていたかのような感覚から、夢の中の自分に意識が入り込むような感じなる
それが続くと意識がさらにはっきりしてきて、脚に当たるボールの感覚とか自分の体の動きとかを感じるようになる
ゲームのキャラに自分の意識が入り込むような感じかな

ここまで来るともう世界が切り替わるのはすぐ
あとはとにかくその行動に集中するんだ、自分の体と意識を繋ぐために
もちろん必死に集中はするけど夢を見ているときは過去に行くためとか考えてない、それを考えた時点で夢は冷めてしまうしね
その時間に本当に戻りたいなら自然とそこで起きることに集中できるはずだから特に深くは考えなくて良い

集中を続けていると今度は段々と周りの景色がはっきりとしてくる
知ってる風景だったり、家の近所だったり住んでる町が記憶にある分徐々に再現されてい
もちろん寝る前の世界とは全て一緒ではない、あくまで俺の記憶を頼りに再現した世界っぽい別の世界なので
俺の記憶があやふやなところは適当に補完されるし酷いときには国の形が変わることもある

その後はどんどん近いものから再現されていく、まず自分がサッカーをしていた草原は母校の中学校に変わるし、他の物もどんどん増えていって最終的には人が再現されていく
無意識に集中しているうちにこれらの物は再現されていくからあたかも最初からそこにあるような感じになる
すると段々おかしな感覚に襲われる、今俺は何をしているんだここはどこなんだ?と
でもあたりを見回すとそのころには最初の頃のぼんやりとした世界とは違い現実の起きていた時と同じような意識と世界がある
ここまで来るともう終わり
寝る前の世界には帰れなくなる、というよりも自分がいたはずの世界が夢だったのかのような気持ちにすらなる

(続く)