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Bだぁくれぇのおっさん
親の祖母(俺から見た曾祖母)がまだ幼かった頃の親に語った伝説。

山のふもとに父親、母親、子ども(幼稚園児)という普通の3人家族が住んでいて、ある日子どもがダダをこねて両親を困らせ、あまりにも聞き分けの悪い子どもにブチギレた父親は子どもを外の柱に縄でくくりつけて『おまえみたいな子どもは要らん!』と怒鳴ったそうだ。
すると、身長が2mほどあって真っ黒なボロボロの服を着た大男がどこからともなく現れて、柱にくくりつけられた子どもを指さし、
『だぁ要らんのか?だぁ、くれぇ』
と言いながら父親には手のひらを見せた。

曾祖母が住んでいた地域の古い言い回しで、『だぁ』=『それ』、『くれぇ』=『ちょうだい』だそうだ。
つまり、大男は子どもを指さして『それ要らないのか?それちょうだい』と父親にねだったのだ。
父親は『いいえ、要ります』と答えると、大男は『ちっ』と舌打ちをしてどこかに消えた。
人間であるとも人間でないとも言える大男の存在へ父親と息子は恐怖した。

彼らの口から謎の大男の噂が広まり、突如現れて人の子を『だぁ、くれぇ』とねだる恐ろしさから『だぁくれぇのおっさん』という名称が生まれた。
『悪い子にしてるとだぁくれぇのおっさんが来るよ!』と子どもを叱る人間が増えたある日、子どもが誘拐される事件が起きた。
誘拐された子どもの両親は『だぁくれぇのおっさんに誘拐されたかもしれない』と語った。
というのも、母親が『悪い子にしてるとだぁくれぇのおっさんが来るよ!』と子どもを叱ったところ、子どもが『来るわけないじゃんwww』と言ってイタズラをやめなかったので、お仕置として夜に子どもを外の柱へくくりつけた。
裁縫をしていると家の外で
『わ゛ーーーーー!!!!!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!!!』
と子どもの泣き叫ぶ声が聞こえ、外に出た時には子どもの姿も声もなく、あったのは刃物で切られたと思われる縄だけだったという。

その事件以来、だぁくれぇのおっさんは『子どもの誘拐犯なのでは』と新たな説が浮上し、ある者は『子どもを誘拐して食べてるおばけだ』と語り、またある者は『ただの浮浪者だ』と語り、『だぁくれぇのおっさん』は都市伝説とも不審者とも呼ばれるようになった。