>>6 続き

その日もそうでした。

家までの道のりには、途中に数百メートルはある街灯が等間隔に並んだ、長く真っ直ぐな坂道があります。
合流する道が無い本当に真っ直ぐな坂道です。

坂道は急ではありませんが、長く続く上に駅から急いで自転車を漕いでいた私には堪えました。

それでも何とか坂道の頂上までたどり着き、自転車に跨がったまま停まって一息ついた時の事です。
特に何かを感じた訳ではありませんが、私は後ろを振り返りました。

するとそこには、髪は長くボサボサで真っ白、落ち窪んだ目は見開かれ、ギョロリとこちらを見つめる老人が立っていたのです。

私は反射的に前を向き、自転車を漕いでいで一目散に家へ向かいました。
家に着いたところで、後ろを振り返りましたが、誰もいませんでした。

あの道は途中で合流できない真っ直ぐな道です。
私は途中で誰も追い越していませんし、後ろからスピードを出しいる自転車に追い付けるとも思えません。

その後、高校を卒業するまで、同じ道を何度も通りましたが、その老人に遭遇する事は二度とありませんでした。

老人の姿も相まって、非常に不気味な体験でした。