>>336
こんなに朝早くチェックアウトをするのは初めてでしたが、早朝でもフロントにはホテルスタッフが立っており感動したのを覚えています。ですがその感動も、スタッフの言葉で砕け散ることになります。
チェックアウトの作業を済ませながら私は耐えきれずスタッフに話しかけました。

私『昨晩、騒音で苦情は届いてませんでしたか?』
スタッフ『騒音についての苦情は届いておりませんが……お客様が物音を立てていらしたという事でしょうか?』

あれほどの音と警報音、実際に鳴り響いていたのなら誰か一人は絶対に苦情を寄せているはずだという最後の願いは粉々になりました。私だけが聞いた音だったんだ、やはり何か視えてしまったんだと、いっきに喉が渇いた感覚になりました。
思えばのぞき穴から見えた光景もおかしな点が多かったです。ホテルの廊下は24時間明るいものですが、その時見えた光景では薄暗く不自然でした。人影が白く発光していたのも奇妙でした。その白い人影の大きさは均等ではなく背丈など個性があったと思います。音は……聞こえてしまったとして、あの鮨詰めの白い人影は何だったのかと考えましたが、霊体験がなかった私に見当がつくわけもなく。
昔読んだ漫画にあった、同じ場所に違う時空がいくつも存在感していて、別の時空とのチャンネルが合わさってしまった時に人はそれを霊と呼ぶのかもしれない……という内容を思い出しました。それぞれの時空でお互いが霊的な存在として現れてしまう、といったものです。
後日父に話したところ、おそらくその手の現象だろうと言われました。