>>314

部屋の戸締りを確認し、恐る恐るパーカーを拡げてみると、中に正方形の小さなメモ帳がテープが貼り付けてありました。
メモ帳には、「探していたのは、これで、合ってるかな?」と見覚えのある汚い字で書かれており、この文面を見た瞬間、私の顔は真っ青になり、冷や汗が止めどなく溢れてきました。何故かと言うと
ある常連客(これからは沼田と呼ぶ)が、前に一度、私の誕生日にプレゼントと共に手紙を送ってきた事があり、その手紙に書いてあった字と、このメモ帳の字が全く同じだったのです。

急いで、そのメモ帳を破り捨て、フロントに問い合わせました。

水「あの、ここに沼田という人は泊まっていますか..?」
フ「確認して参りますので少々お待ち下さい。」
数分経って
フ「はい、1名のお客様が、」

フロントの人の言葉を遮り、小さく悲鳴を上げました。
水「ありがとうございます...」
お礼をいい終わった後、直ぐに電話を切り、姫野に

水「前に話した、少し気持ち悪い常連さんがいるじゃない?
その人、今日、ここに泊まってるらしいの。」

話している途中で、体中が震え、目には涙が溜まり、とても普通とはいえない状態でした。

姫「え、沼田って、勘違いしているおじさんの事だよね?大丈夫...?」
水「そう、私と自分が付き合っていると思い込んでるみたいで、今までは見つめてくるぐらいのそこまで酷い事をしてこなかったけど、旅行先まで着いてくるなんて思わなかった...」
姫「もしかして...沼田っていう人がパーカーで届けてくれたの?」
水「そうだけど、私達、沼田さんがここにいるなんて知らなかったし、パーカーを探しているなんて、最初に聞いたカップル以外には話してない...」
姫「確かに、、じゃあなんでパーカーを?」
水「分からない、、、気持ち悪い、」

姫野にずっと背中をさすられていると、少し落ち着き、極力、部屋から出ないようにしようと決めました。