何か細長い黒い物体が前を横切った。
ガタッと鈍い音が響き渡り、
「ああ、やってもうた」って感じで数十秒程パニック状態に陥りながら、とりあえず外に出て何の動物を轢いたのか確認&動物を轢き殺した時って警察に連絡しなければいけないのかな?と考えていた。

しかし
そこには何もいなかった。
車のフロント部分にも何の外傷もなくまだ走れそうだなと確信した俺は、五右衛門に「なんか轢いちゃったみたいなんすけど、いないんすよね」、と言い寄ろうとした瞬間、五右衛門はフリードと共にその場から姿を消していた。

俺はその時、不思議と五右衛門に対して怒りを覚えなかった。
むしろ俺自身、その場に我に返って
雨にうたれながら激しい希死念慮にかられた。

でもここまで来たらもう後には引けない。
俺は死にたい欲求を何とか押し殺しながらもとにかく道なりに進んで行った。

そして大幅な時間ロスを要してやっとのことでカカシの里に辿り着けたんや。
ほんまにお前らに悪いと思ってる。
こんな筈じゃなかったんだ。
本当はスッと行ってサッと帰るつもりだったんや、でもそうは甘くなかった。
色々と事前に行く前に俺に注意喚起を促してくれた人達には感謝してる。ありがとう。その意味がよく身に沁みたよ。

そしてカカシの里に着いた俺は、
色々と写真を撮りまくった。
確かに少し怖いとは思うが、
俺はどちらかと言うと、カカシを初めて生で見た印象は、
【悲しいや、寂しいや、苦しい】などの孤独と向き合い続けながら藻掻き苦しんでいる印象を受けた。