大学に進んだ私は、再び寮に入寮いたしました。
しかしついていないことに、入寮した寮がまた事故物件だったのです。
具体的にはまた二つ隣の部屋で仏さまが出ました。
その当時、ある程度慣れ切っていた私は、そんなことも気にせず、初の一人暮らしに浮かれておりました。
部屋はとても狭く、共用廊下と隔てる鉄扉に、備え付けの机とベッドしかないような簡素な部屋でした。
ベッドは足のすぐ近くの方に鉄扉が来るような向きで置かれていました。
ある日、深夜に私が眠りからふと目を覚ますと、鉄扉から黒い人の上半身のようなものが生えているのが見えました。
逃げようとしても体は金縛りにあったかのように動きませんでした。
そしてその人影が私の上まで伸びてきて、両腕で首を絞めつけてきました。
私は苦しいやら怖いやらで漏らしそうでしたが、しばらくすると急に負荷が消え、人影も消えていました。
私は寝ぼけていたのかと思いましたが、それ以降、深夜になると不可思議な家鳴りが起こるようになりました。
家鳴りは湿気や内部応力等により、建材がきしむ現象ですが、天井や壁、床がきしむのみならず、備え付けの鉄製の机が特にきしむようになりました。
その音は電球交換のために机の天板に上った際のような、はっきりとしたぎしぎしという音でした。

現在の私は、不可解な現象が恐ろしくなり、退寮時期ではないのに、親にねだって寮を出て、アパートに住み始めました。
これまでの教訓から、アパートは事故物件ではないかなど入念に下調べを行い選びました。
しかし、不可解な家鳴りは止まず、深夜になるとベッドの周りを歩き回るような、ぎしぎしといった音が聞こえます。
最近はどこにいても、ふとした時に視界の端に黒い人影が見えるようになりました。
そこを向いても当然のごとくなにもおらず、あまりのうっとうしさにむかつきがとてつもないです。
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