俺の家に着くと、母が起きてきて風呂を入れてくれた。
俺は下半身がほぼパンイチでどろまみれ
Aは涙と鼻水で顔がぐちょぐちょで
CとBは汗だく
Dは失禁してズボンがびしょびしょだった。
俺たちは小学校の頃から仲がよく、母はいろんな格好の俺たちを見てきたがこの日ほどひどい日はなかったと言っていた。

風呂を上がったあと、母が「今日はみんなゆっくり休みなさい」と言い俺の部屋に人数分の布団を用意してくれた。
でも、俺たちは電気を消すのが怖くて
身を寄せ合いながら座り、一睡もしなかった。
しばらくは誰も喋らず沈黙が続いていたが、
Bがぼそっと「スマホどうしよ…」と言った。
俺たちはスマホも財布も全部テントと一緒に置いてきてしまっていたことを思い出した。

C「最悪だ…、どうしよう……」

A「俺…、もうあそこには戻りたくねぇよぉ…」

B「俺だって、無理だよ……」

俺「でも、誰かが取りに行かないと…」
俺がそう言うとみんな黙ってしまった。

D「俺が取ってくるよ」
しばらくしてDがそう言った。

D「俺が声をかけちゃったから、みんなに怖い思いさせてしまったし…、俺のせいだから…、俺が1人で取ってくるよ」そう言うとAの車の鍵を持って立ち上がった。

ここで、じゃあ、俺もいくよって言えたらカッコよかったんだろうけど、そんなことが言えるやつは1人もいなくて

俺「気をつけろよ…」
と言うのが精一杯だった…。