後日談。
 実はこの話は我が家では長年タブーのようになっていました。母としては早く忘れてもらいたいと思ったのでしょう。私も触れませんでしたし、母から話す事もありませんでした。
 しかし記憶を呼び起こすとおかしな点があることに気がつきます。常識的に考えて事件のあった直後に警察官が小学生を現場に連れていくでしょうか?また、事件があったとはいえ部屋と仕事が決まりこれからという時期にまたすぐ引っ越しをしたのも気になりました。この話を書くにあたってその事がどうしても気になり母に尋ねると意外にもすんなり答えてもらえました。
 結論から言うと、私がおじさんの家だと思っていたのは空き家でした。警察官が家を見に行くと中はもぬけの殻。記憶違いの可能性を考えた警察官が確認のために私も現場に連れて行ったということでした。その翌日、警察から裏口の鍵が壊されており、誰かが生活していた痕跡もあったと聞かされたそうです。少なくとも私が引っ越してきてから3ヶ月以上はその家に住んでいたはずですが、近所の人は誰も不審に思わなかったそうです。
 すぐに引っ越しをした理由は単純で、まだおじさんが捕まっていないからです。