「兄ちゃん、いま女房がいないんだよ…」急逝した仲本工事さんが落ち込んだ声で先輩役者に打ち明けた“1カ月前の相談電話”


「もっとん仲本の話を聞いてやるべきだった」

突然の訃報に「もっと仲本の話を聞いてやるべきだった」と後悔の言葉を口にするのは、仲本さんと30年以上の付き合いだった大衆演劇俳優の沢竜二さん(86)だ。
仲本さんは生前、役者として沢さんの舞台に何度も立っていた。

「舞台終わりに渋谷にあった仲本のお店に立ち寄ったのが出会いだった。それから何度も飲むようになって、同じ舞台に出ることもあった。気が合う仲間だったね。1999年にラスベガス公演が決まって、どうしても日本の歌を英語で歌いたいと思って、仕事の合間に仲本に特訓してもらったよ。あいつは学習院だから英語が達者で、英訳してくれて、1カ月通って発音も教えてもらった。あいつが近くにいると安心感がある。いかりやさんも仲本とコントをすることが多かったですよね。信頼していたんだと思います」


沢さんが最後に仲本さんと話したのはつい最近のことだ。
その時のいつもと違う様子が今でも忘れられないという。


珍しく落ち込んだ様子で「兄ちゃん、今、女房がいないだよ」

「1カ月くらい前に、12月に浅草公会堂で『全国若手座長大会』があるからゲストで出ないか? と電話したんです。そしたら『出る』と。ただ、その時にすごく元気がなくて、『どうしたんだ?』と聞いたら『兄ちゃん、今、女房がいないんだよ』と。いつもあっけらかんとしている仲本が珍しく落ち込んでましたね。

『女房が横浜でカレーのお店(21年12月オープン)をやりたいと言うから出したんだけど、家から通うと思っていたら帰らなくなっちゃって……』と、カミさんが横浜にお店を出したことを悔やんでました。夫婦には夫婦にしかわからないことがありますが、仲本と一緒に舞台に立ちたかった