ふたつめ。

背中合わせに体育座りをする人。ほぼシルエットでなんとなくの表情は見える程度。
片方はギャーギャー喋っている。片方はぼんやりうつむいている。背中に任せるのが当然のようだ。
首から尻までの背面全体が溶け合っているように融合している。真ん中で核のようなものが共有されている。一つの魂。一人の人間。

そのシルエットがいる場所から道がいくつかに別れていく。足の甲の筋肉に似ている。道の造りにフォーカスすると、さっきのうつむいていた方が通常の人間のシルエットになって道を選ぼうとしているシーンに変わる。

文章から読んでも、一人称の違いと口の悪さだけで、語尾や話の展開、リズム、そしてその奥にある欲求もまるきり同じ。それは同一であるという事だ。まるきり同じ一人の人間であった。