「全国がん登録」最新データで判明  福島県で6年連続「胃がん多発」

6年連続で胃がんが「有意な多発」をする福島県

公表された2016年と2017年のデータをもとに、「全国胃がん年齢階級別罹患率」と福島県の同罹患率を比較してみたのが、次の【表1】である。

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男女ともにさまざまな年齢層で、全国平均を上回っている年齢階級が散見される。

次に、全国と同じ割合で福島県でも胃がんが発生していると仮定して、実際の罹患数と比較してみる検証を行なった。
疫学(えきがく)の手法で「標準化罹患率比」(略称SIR、standardized incidence ratio)を計算する方法だ。
全国平均を100として、それより高ければ全国平均以上、低ければ全国平均以下を意味する。

国立がん研究センターでは、SIRが110を超えると「がん発症率が高い県」と捉えている。
福島県における胃がんのSIRは2012年以降、男女とも全国平均を上回る高い値で推移しており、特に2016年の女性では139・4というひときわ高い値を記録している。

続いて、このSIRの「95%信頼区間」を求めてみた。疫学における検証作業のひとつであり、
それぞれのSIRの上限(正確には「推定値の上限」)と下限(同「推定値の下限」)を計算し、
下限が100を超えていれば、単に増加しているだけではなく、確率的に偶然とは考えにくい「統計的に有意な多発」であることを意味する。

その結果は【表2】のとおりである。福島県においては12年以降、6年連続で男女ともに胃がんが「有意な多発」状態にあり、それが収まる兆しは残念ながら一向に見られない。

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ほか甲状腺がん・胆のう・胆管がんなどでも有意に多発

以下より抜粋
https://level7online.jp/2020/%E3%80%8C%E5%85%A8%E5%9B%BD%E3%81%8C%E3%82%93%E7%99%BB%E9%8C%B2%E3%80%8D%E6%9C%80%E6%96%B0%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%A7%E5%88%A4%E6%98%8E%E3%80%80%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%9C%8C%E3%81%A7%EF%BC%96/