さいとう・たかを「ゴルゴ13/13年蝉の夏」

ゲイで資産家の夫に蔑ろにされているお飾り妻。
(若く美しく気立てがよく、元は貧乏人。カネで買われるようにして、夫はゲイで自分は道具とわかって結婚した)
やるせない気持ちを持て余して、町を見下ろす郊外の丘へドライブ。

この町は素数ゼミの生息地として有名で、ちょうどこの年は羽化する年。
こんな小さな虫も命を燃やしているのに…とまたやるせない気持ちになった時、女はゴルゴをゴルゴと知らず、昆虫学者と信じて出逢い、ベッドを共にする。

13年後。未亡人になっていた女は素数ゼミの声を聞いて「東洋人の昆虫学者」との一時を思い出し、同時に自分をそうさせた夫のことも若干の罪悪感と共に思い出す。
ショッピングの途中、ゴルゴを見かけた女は運命に感激し、同時に保安官の尾行に気づく。

以前から親しかった保安官
(保安官的には資産家の奥様を無碍にはできないし、誰とでもフランクに話すのが仕事でもあるわけで)
から世間話にかこつけて色々聞き出すと、昆虫学者はゴルゴ13と呼ばれるスナイパーで、13年前の殺人事件の容疑者だが証拠はなく、今年また現れたので未来の殺人を警戒しているとわかる。
女は思わず、保安官の頭に灰皿を叩きつけて殺す。

女はゴルゴを呼び出し、私は夫を殺しあなたを狙う保安官も殺した、私の手は汚れている…と話す。
ゴルゴは女に銃口を向ける。

数年前。夫はゴルゴに妻の殺害を依頼した。
『私が事故死したら、妻を殺してほしい。きっと妻は、私に耐えかねて殺すから』
『思えば気の毒な女です…私は妻を、天国に連れていきます』
『あなたなら、妻は苦しまずに逝けるでしょう』

いや、その…うん、まあ…。