「航空環境研究」2002年

耳の聴こえに支障をきたすような深刻な騒音はなくなりましたが、依然としてテレビや電話が聞き取りにくいとか音がうるさいといった状況は残ります。 ジェットエンジンの低騒音化に伴ってファンの音が優勢となり、低周波成分が増えて音色も変わりました。

しかも、騒音発生源の低騒音化にも関わらず、航空交通の発展に戸もんたって騒音の発生回数が増加し、騒音暴露量も増加する傾向にあります。 つまり、これまでの環境対策が実を結び、騒音被害の甚大なレッドゾーンは激減したのですが、騒音被害が生じないとはいえない程度の音が聞こえるグレーゾーンは拡大する傾向にあるのです。

騒音は物理事象としての性質だけで問題の程度が決まるものではありません。 音を聞き、それをうるさいと思う人の感覚、音を発生するものと受音する者の社会的な関係によっても問題のされ方は大きく変わります。

(中略)

暮らしが豊かになって生活の質が重要視されるようになっていることを思いますと、空港周辺の音環境についても一層改善の努力をして行かなければ(以下略)


http://aerc.jp/_public/aerc-2002-06.pdf