そのとき、ベビーカーの中から赤ちゃんが声をあげたので「ごめんね、もうすぐおうちだよ」と声をかけました。ベビーカーから顔を上げると、10mくらい離れていたはずの「それ」が瞬時に5mほど先に移動していました。

「あ、まずい」と思いました。ベビーカーを全速力で押して左折し、マンションの敷地内に入りました。エントランスまでのアプローチら小さな公園のようになっており、敷地はぐるりと塀で囲まれ歩道側には大きな門が立っています。その門をくぐり終えたとき、わたしのすぐ背中に「それ」が立っているような気がして振り返ることができませんでした。

門をくぐってからは何事もなく、無事に家に帰れたのですが、あれは一体なんだったのでしょうか?