ネコの背には傷があった。
心無い人間につけられた、小さな切り傷がたくさん。
それでもネコは人間を信じていた。
話せば分かり合えると思って、
礼儀を携えて、傷を付けた元飼い主に会いに行った。
元飼い主はネコの傷に塩を塗りたくった。
ネコの断末魔は世界にこだました。
ある者はその光景を笑い、
大多数の者は都会の雑多に夢中で、
聞いてもいなかった。