学生時代にユニットバスの部屋に住んでいた。
体を洗った後に浴槽に栓をして、シャワーを浴びながらお湯がたまるのを待つ習慣だった。

ある冬の寒い夜、バイト帰りすぐに風呂にに入って、
いつものように浴槽で暖まりながら待っていたら、うっかりうつらうつら眠ってしまった。

手に持っていたシャワーヘッドを落として顔に噴射を食らい、
びっくりして目が覚めたが、まだお湯は半分ぐらいしか溜まっていない。
普段の量まで貯めてからしばらく浸かり、上がってユニットバスの外に出ると、なぜか真昼間だった。
時計を見ると今日のバイトに出る時間まであと3時間ぐらい。
そんなに時間は経っていないと思っていたのに。どういうことかわからなかった。

「夜に帰宅して即風呂に入った」というのが勘違いだったのか、
それともそもそも「バイトに行ってきた」というのが風呂の中で見た夢だったのか。
その時期は学校がなく、毎日代り映えしないバイトだけの日が何日も続いていたので、
単調さのあまりどこかで意識が混線したのかもしれない。