76話「光源」
日曜日、昼に目を覚ました。ぼんやりと天井を見ると、ベランダから反射した光が射し込んでいた。その光は波打っている。
波打つということは、水から反射した光。しかし、ベランダには水槽も置いてない。水を張ったバケツも置いてない。
不思議に思い、ゆっくり起き上がると、ベランダのドアの前に立ってみた。天井の光は消え、ドアから体をズラすとまた光が現れた。やはり波打っている。
ベランダに出て確認したが、やはり水に関係のあるモノなど何もなかった。
暫く雨も降ってないので、水溜まりもない。
ベランダのガラスに手をかざすと、天井の波打つ光の中に、手のひらの影が出来た。時間が経ち太陽が移動するとともに、天井の光は消えてしまった。
何を反射した光だったのか、今でも分からない。