私は小さい頃、あるお店にあるガチャガチャが好きだった。
目新しいキャラクターに、軽快な演出なんかもついていた。
特別な五枚のコインを入れる必要があるのだが、幼い頃の私は十枚ちょっと集めるのがせいぜいだった。
父親に強請ったが怒られてしまった。父がトイレに向かっているときに知らないおじさんが、そっと五枚のコインを渡してくれた。
「いいかい、誰にもこのことは言ってはいけないよ」
私は喜んでガチャガチャを回した。大当たりだった。私は玩具を手に喜んでいると、父親が私を見て真っ青な顔をして怒鳴りつけた。
どうしてそんなに怒っているのか理解できなかった。
だが、大人になった今、あのときを思い出すと今でもぞっとする。