虐待事件が後を絶たない。その背景に、子は親のものという勝手な認識がある。
例えば、特定の進路や職業を強要したり、友達関係や異性関係に干渉したりして、
支配しようとする。成績が下がると恥ずかしいからと責めるなど世間体を重視する。等。
自分が正しいと信じて無自覚に子供を攻撃する親が多い。
攻撃を引き起こす一因に、親自身の劣等感がある。劣等感や敗北感を抱え、
自分が果たせなかった夢の実現を子供に託して“逆転”を狙おうとする親は案外多い。
あわせて問題なのが、虐待されたことのある親が子供に同じことを味わわせることで、
自分の屈辱を乗り越えようと狙うメカニズム。「攻撃者との同一視」と呼ばれる現象で
著者ら精神科医が研究している。これによって子供への支配を正当化してしまい、
連鎖を生むことになる。これを断ち切るためには、次の世代に持ち越さないという意識が重要になり、
良い成績を取ったら愛してあげるというような条件付の愛ではなく、
無償の愛を注ぐ関わり方、見返りを考えずに愛する意識が重要になる。
親子は別々の人格であり、子供にも自我がある。エゴを押し付けず、意見を聞き、
本人の希望や好みをしっかり見てあげることが大切。

(子供を攻撃せずにはいられない親、及著者インタビュー紙記事)