これはムカついたね。でな、箸が刺さらないのは尻の幽霊みたいなものかと考えた。
幽霊といったら、これは御札とか御守りだろ。俺は競馬やってたから、
賭け事のご利益で有名なある神社のお守りを持ってたんだよ。
何年も前のものだから効力はないかもしれないとも考えたが、
試して悪いこともないだろ。御守りの袋を開けて中に入ってた和紙を取り出し、
果物ナイフに巻きつけたんだよ。それだけだとまだ心配だったから、
コンビニで線香を買ってきて、ナイフの柄に輪ゴムつけて何本もはさんだんだ。
それをちゃぶ台の上に用意して、夕飯時を待ったんだよ。

でな、6時頃に線香に火をつけて、
それからおもむろにコンビニ弁当を開き、パシッと割り箸を割った。
したら予想どおり目の前に尻が出てきたんで、
俺は適当に「たかさごや〜」とか叫びながら、肛門にナイフを思いっきり突っ込んだ。
するとザックリと何かを切り裂いた手応えがあったんだよ。

尻は屁をする前に消えたから、ザマミロと思って一人でにやにやしてた。
それから5分くらいして、救急車のサイレンが近づいてきてアパートの前で停まった。
外に出てみたら、1階に住んでる前にゴミ捨て場で口論したことのあるオヤジが、
山伏の格好で尻を出し、白い着物の下半身を血で真っ赤にした状態で、
「うおー、尻を刺された。呪い返しにあったあ〜〜」と叫びながら、
担架で救急車に乗せられてったんだよ。